ご挨拶
この度、第117回日本小児精神神経学会を東京医科歯科大学鈴木章夫記念講堂で開催させていただきます。
多くの子どもは、まずは親など家族にしっかり受け止められ、食やスキンシップ、遊びを通してのかかわり合いなどがあって発達します。幼児期では、地域の方、園の先生方、子ども同士の交流でさらに成長、家庭でも身辺自立に向け教えられます。学齢期になれば、学校の先生方から学び、集団や友達の中でもまれ、社会性を発達させ、知識、常識、様々な体験を蓄積させ、社会に出る準備をしていきます。ただし、障害を有する、あるいはその心配がある子ども達は同様にはいきません。通常の成育環境のみでは、健やかな発達のためには不十分と思われます。どのような障害あるいは特性があるのかを把握し、その子どもなりの発達を促すために、よりよい方法を模索する必要があります。必要な専門家が発達支援に加わることで、より健やかな発達が実現する可能性があります。
また、近年の成育環境を考えますと、小家族化が進み、地域の人々の関係が希薄になっていることも多く、家族や地域の中で、コミュニケーション能力や社会性を育む機会が減っています。さらにゲームやスマホの普及、自然の中で身体をぶつけ合って遊ぶような機会も減っていることなども、それに拍車をかけているように思います。一方では、社会に出れば、機械やパソコンの普及などのため、機械やパソコンではできないコミュニケーション能力や企画力、想像力を求められます。他にも、さまざまな要因があると思いますが、社会に生き生きと参加するために、多くの専門家からの支援を必要としている児童、青年が増加しています。
以上の状況を踏まえて、第117回大会では、『多職種の連携で、子どもを育む』をテーマといたしました。
子どもの発達にかかわる種々の専門家が互いに学び合い、自身の専門領域の力を発揮しつつも、他領域の知識も学び、よりよい連携をとって、家族をも支援し、子どもを良い形で育んでいきたい、障害のあるなしにかかわらず、多くの職種の連携で、子どものさまざまな力を伸ばし、社会に参加させたいという思いで、このテーマを選びました。
皆さまから、「多職種の連携」に関する演題、一般演題の多数の応募をお待ちしております。
平成28年 6月 吉日
第117回日本小児精神神経学会 大会長 石﨑 朝世
公益社団法人発達協会王子クリニック 院長